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2017/01/04 (Wed)

宮沢英延元特任研究員、山口良文准教授、三浦正幸教授らがマウスの胚発生中期に生じるグルコース代謝経路の再編成様式を解明

遺伝学教室の宮沢英延元特任研究員、山口良文准教授、三浦正幸教授らは、質量分析技術を用いた代謝産物プロファイリングにより、マウス胎盤形成期前後に生じる胚でのグルコース代謝経路の再編成を明らかにしました。
 
(原著論文):Rewiring of embryonic glucose metabolism via suppression of PFK-1 and aldolase during mouse chorioallantoic branching.
Hidenobu Miyazawa, Yoshifumi Yamaguchi*, Yuki Sugiura, Kurara Honda, Koki Kondo, Fumio Matsuda, Takehiro Yamamoto, Makoto Suematsu, and Masayuki Miura*
Development (2017) 144, 63-73 doi:10.1242/dev.138545
(Development誌のハイライトで紹介されています)
 
マウス胚発生において胎盤形成期から胎児の劇的な成長と様々な組織での細胞分化が盛んになります。また母体と胚との間のガスや栄養供給形式が大きく変化し、エネルギー代謝にも影響があると予想されます。マウスの胎盤形成期(胎生8.5–10.5日)に生じる代謝産物プロファイルの変化を網羅的に解析(メタボローム解析)した結果、胚のグルコース代謝経路が再編成される様式が明らかになりました。具体的には、この時期に解糖系代謝酵素であるPFK-1およびAldolaseの活性が全身性に抑制され、その下流の代謝産物量が大幅に減少する一方で、解糖系経路から分岐し、核酸合成や細胞の酸化還元状態の維持に重要な役割を果たすペントースリン酸経路を迂回して代謝されるグルコースが増加することが明らかとなりました。また質量分析法を用いた分子イメージング技術を用いることで、胚体内における代謝産物の空間分布の可視化にも成功し、解糖系代謝産物である乳酸の分布が神経管周辺で高いことも明らかになりました。遺伝学的手法により、上記グルコース代謝経路の再編成を乱すと、胚が出生直後に致死にいたったことから、胎盤形成期に生じるグルコース代謝経路の再編成が個体の生存に重要な役割を担う可能性も示唆されました。母体糖尿病に伴う高グルコースなど、細胞の代謝状態を撹乱するような因子に胎児がさらされると胎盤形成期に進行する神経管閉鎖過程等に異常を示します。本研究はそのような非遺伝学的要因により引き起こされる先天異常の発症機構解明にも役立つと期待されます。
 
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