専門分野・教室紹介|東京大学大学院薬学系研究科・薬学部

東京大学大学院薬学系研究科・薬学部
  • アクセス・お問合わせ
  • サイトマップ
  • ENGLISH
  • 東京大学
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部

薬科学 - 生物薬科学

研究科長・学部長 一條 秀憲
副研究科長 三浦 正幸
副研究科長 船津 高 志
教育研究評議員 船津 高志
 
 
 
(2018.4.1現在)
:薬科学専攻長
:薬学専攻長
各教室のホームページは各教室の責任で運営されています。
 

衛生化学

https://sites.google.com/site/eiseikagaku/
教授:新井 洋由
准教授:河野 望
助教:向井 康治朗・嶋中 雄太
 

生体膜とその構成脂質の新しい機能を科学する

研究課題
  1. 生体膜脂質環境の恒常性維持機構の解明
  2. 生体膜ダイナミクスの分子機構の解明
  3. 新規生理活性脂質の同定及び機能解明
  4. 線虫(C. elegans)を用いた生体膜機能の遺伝学的解析

 生体膜は、リン脂質二重層とほぼ同量のタンパク質によって形成されており、細胞を外界と区別する障壁であるのみならず、細胞内の様々なオルガネラを形成し、その機能を制御する非常に重要な構造物です。衛生化学教室は、生体膜の必須成分である「脂質」の生理機能の解明を目指しています。生体膜には1000種類以上の脂質分子が存在し、それらの適切なバランスがタンパク質の安定性・活性・局在、及び様々な遺伝子の発現制御に重要であると考えられています。我々は、生体膜の主要構成成分であるリン脂質を中心に、その生合成や恒常性維持に関わる分子の同定・機能解析を行うと共に、生体膜のダイナミックな活動(エンド・エキソサイトーシス等)における生体膜脂質の役割を解析しています。
 また、生体膜脂質からは様々な生理活性脂質が生成することが明らかになっており、脂質メディエーターとして多様な生命現象や病気に関わっていることが知られています。我々は近年注目されている、生活習慣病の基礎疾患である「炎症反応」を中心に研究を展開しています。生体内に存在する脂質メディエーターは非常に微量かつ多くの種類が存在するため、リピドミクスの手法を用いてそれらがいつ、どこで、どれだけ産生されるのかを包括的に明らかにすると共に、新規の生理活性脂質の同定も目指しています。
 
図1 生体膜脂質の機能
図1 生体膜脂質の機能 
図2 脂質関連疾患
図2 脂質関連疾患 

生理化学

http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~seiri/
教授:北川 大樹
講師:福山 征光
助教:高尾 大輔・吉場 聡子
 

細胞分裂を制御する基本原理を解明し、創薬に応用する

研究課題
  1. 中心体複製の分子機構の解明とその理論化
  2. 多様なマシナリーにより駆動される細胞分裂の分子基盤
  3. 非コードRNAが制御する細胞分裂の分子機構
  4. 比較がん細胞生物学と次世代型細胞分裂阻害剤の開発
  5. 細胞遺伝学的手法による細胞間コミュニケーションの解析

 生理化学教室では、多段階のプロセスにより達成される細胞分裂の分子機構を理解し、新規抗がん剤開発などの創薬応用に発展させることを目指しています。細胞分裂は発生過程や生体の恒常性維持を考える上で重要であり、多様な分子マシナリーの協調的な働きにより駆動されています。特に、中心体の複製や分裂期紡錘体形成を介する染色体分配が適切に行われることは、ゲノム安定性維持に必要です。これら素過程の基本原理をタンパク質と非コードRNAの関与を中心に、細胞生物学、生化学、分子生物学、生物物理学、構造生物学、シミュレーションなど幅広い手法を融合することにより解き明かします。
また、当研究室では、生体におけるより広範囲な生理応答を細胞レベルで捉え、in vitroで再構築し、その分子基盤を解明することを目指しています。生命現象は生体を構成する個々の細胞の自発的な細胞機能、そして連続的かつダイナミックな細胞間相互作用をもって達成されます。生体内で起こる様々な生理応答を細胞レベルで再現し、最新の細胞遺伝学的手法により素過程を分子レベルで明らかにし、ここで得られた知見を個体レベルでの理解に還元するアプローチを試みています。
 
図1  ヒトHeLa細胞の分裂期において染色体を引っ張る紡錘体微小管(コントロール, 左), 紡錘体形成と染色体分配の異常(右).
図1 ヒトHeLa細胞の分裂期において染色体を引っ張る紡錘体微小管(コントロール, 左), 紡錘体形成と染色体分配の異常(右). 
図2 中心小体の複製と構造. 超解像顕微鏡画像: 緑は中心小体の輪郭, 赤はカートホイール構造を示している.
図2 中心小体の複製と構造. 超解像顕微鏡画像: 緑は中心小体の輪郭, 赤はカートホイール構造を示している. 

分子生物学

http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~molbio/
教授:後藤 由季子
講師:岸雄介
助教:岡﨑 朋彦・川口 大地

細胞運命が決定する仕組みを分子レベルで理解する。

研究課題
  1. 脳発生および成体における神経幹細胞の運命制御
  2. 細胞の生死・運動・がん化および感染防御のシグナル伝達機構

 当研究室では脳が構築されるプロセスや、自然免疫応答、がん化などの生命現象を“細胞の運命決定”という観点から分子レベルで理解することを目指している。
 我々の思考や行動を司る脳は、非常に複雑な神経回路とそれを支える構造により、高度な情報処理を行っている。哺乳類の脳は、発生の過程において、神経幹細胞が増殖と分化を繰り返し、神経回路の「素子」となる様々なタイプのニューロンやグリア細胞を産み出しながら、それらが正しく配置され成熟することで形成される。さらに神経幹細胞は成体の脳でもニューロンを産み出しており、学習や記憶、ストレスからの回復、また本能的な行動において必須の役割を果たしていると考えられている。したがって、神経幹細胞がどのように維持され、また、必要に応じて正しい数と種類のニューロンやグリア細胞をいかにして作っているのか、という「神経幹細胞の運命制御メカニズム」を明らかにすることは、脳の発生や働き、あるいは脳疾患を理解する上で非常に重要である。我々はエピジェネティックな遺伝子発現制御などに注目し、分子生物学的手法を駆使してこれらを明らかにすることを目指している。
  また、当研究室では、がんや自然免疫応答の系においても、個々の細胞が細胞外から受け取ったシグナルを(細胞内の情報と合わせて)どのように解釈し細胞運命に反映させるのかについて研究を進めている。例えばウイルス感染における自然免疫応答では、外敵の侵入を感知した細胞がインターフェロン応答やアポトーシスなどを引き起こすが、これらの応答がどのように決定されるのかについては十分にわかっていない。また、がんの悪性化では、細胞の運動性が上昇し浸潤能を獲得する。これらのプロセスを細胞内シグナル伝達経路に着目し解析している。これらの研究は、細胞が環境に応じてさまざまな応答を起こす仕組みの理解と、新たな製薬標的の発見に貢献することが期待される。

 

 

遺伝学

http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~genetics/index.html
教授:三浦 正幸
助教:小幡 史明・樫尾 宗志朗
 

個体の発生・成長・老化・行動を細胞社会という視点から捉える研究

研究課題
  1. 発生・成長・老化における細胞死シグナルの調節と生体機能
  2. 細胞死による組織の細胞数(定足数)とサイズの制御機構
  3. 神経回路の形成と維持機構
  4. 発生・発達の代謝による制御
  5. 冬眠を可能とする分子機構
  6. 社会環境応答の神経メカニズム
 プログラム細胞死は、ダイナミックな組織形成や組織リモデリングにおいて積極的な役割を果たしています。当研究室の研究から胚発生や成長老化期では生体ストレスに応じてカスパーゼが段階的に活性化され多様な生理機能を果たすことが明らかになってきました。細胞死シグナルの生体制御とその生理的な役割を個体レベルで明らかにすることで、生体ストレスの受容と応答による細胞社会構築原理の解明を目指しています。
細胞社会という視点から時間とともに変化する個体発生、成長、老化、行動を捉える研究課題として、「組織の定足数・サイズ制御」、「神経回路の形成と維持機構」、「発生発達期の代謝制御機構」「冬眠を可能とする分子機構」、「個体行動を司る脳内状態」を対象とした研究を進めており、様々な生物を研究に活用して、面白い生命現象を新しい視点、最新の解析手法で解明していきます。このように様々な生命現象・生物種を1つの教室で扱うことにより、幅広い視野から対象を掘り下げて探求する力を持った学生を育成します。
 
図1:傷害、感染、浸透圧、圧力など生体内の細胞は様々なストレスに曝されている。ストレスを受けた細胞では、カスパーゼを含む蛋白質複合体が形成される(左図)。細胞が生きた状態でカスパーゼ活性化レベルを検出できる蛍光プローブ“SCAT”の原理(右図)。SCATを用いてカスパーゼが徐々に活性化していく様子を疑似色の変化(赤から青)で示す(左下)。 図2:ショウジョウバエ外感覚器前駆体細胞の誕生と細胞死による選別 図3:マウス頭部神経管閉鎖での細胞死ライブイメージング図 図4:ショウジョウバエ脳内の嗅覚系神経細胞を標識・操作する
図1:傷害、感染、浸透圧、圧力など生体内の細胞は様々なストレスに曝されている。ストレスを受けた細胞では、カスパーゼを含む蛋白質複合体が形成される(左図)。細胞が生きた状態でカスパーゼ活性化レベルを検出できる蛍光プローブ“SCAT”の原理(右図)。SCATを用いてカスパーゼが徐々に活性化していく様子を疑似色の変化(赤から青)で示す(左下)。 図2:ショウジョウバエ外感覚器前駆体細胞の誕生と細胞死による選別 図3:マウス頭部神経管閉鎖での細胞死ライブイメージング図 図4:ショウジョウバエ脳内の嗅覚系神経細胞を標識・操作する 

細胞情報学

http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~toxicol/index.html
教授:一條 秀憲
准教授:名黒 功
助教:藤沢 貴央・山内 翔太・渡邊 謙吾・内山 聖一
 

シグナル伝達研究から創薬へ

研究課題
  1. ASKファミリー分子群のシグナル伝達制御機構と生理機能
  2. 細胞死ならびにストレス応答に関与する新たなシグナル伝達分子の探索
  3. ストレスシグナルの破綻による疾患発症の分子機構

 細胞情報学教室では,細胞内シグナル伝達機構の解析をメインテーマとし,新しい創薬ターゲットの発見ならびに各種疾患の分子基盤の解明を通じて,シグナル伝達研究を創薬的応用に発展させることを大きな研究目標としている。特に,癌,免疫疾患,循環器疾患,神経変性疾患など,多種多様な疾患の鍵を握る分子機構としてのストレス応答シグナルの生理と病理に焦点を当てて研究を行っている。研究手法としては,遺伝子クローニングから蛋白化学に至るまでの分子細胞生物学的手法や,マウス,ショウジョウバエ,線虫などのモデル生物を用いた分子遺伝学的手法を基本としながら,質量分析計によるプロテオーム解析やRNAiライブラリーを用いた網羅的遺伝子ノックダウンスクリーニング系の構築など,随時新しい解析技術のストレスシグナル研究への応用を試みている。これらの手法を駆使して「標的分子と分子機構」を解析する中で,常に「個体と疾患と創薬」を意識しながら新しい薬学分野の開拓を目指している。
 
図1 哺乳類のMAPキナーゼ経路
図1 哺乳類のMAPキナーゼ経路 
図2 分子・細胞・個体レベルでのストレスシグナル解析
図2 分子・細胞・個体レベルでのストレスシグナル解析 

蛋白質代謝学

http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~tanpaku/
教授:村田 茂穂
准教授:八代田 英樹
助教:濱崎 純・平山 尚志郎
 

タンパク質分解が制御する多様な生命現象を解き明かす

研究課題
  1. 超分子タンパク質分解酵素プロテアソームの動作機構の解明
  2. プロテアソーム機能異常と疾患(がん、炎症、老化、神経変性)
  3. 胸腺特異的プロテアソームによるT細胞選択機構の解明
  4. ユビキチンシステムによる異常タンパク質除去機構の解明

 蛋白質代謝学教室では、細胞内の主要なタンパク質分解装置であるプロテアソームによる細胞機能制御機構の解明をメインテーマとし、細胞生物学、生化学、マウス発生工学、酵母遺伝学、ショウジョウバエ遺伝学など幅広い手法を用いて研究を行っています。
 プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を分解することにより、細胞周期、転写制御、シグナル伝達、タンパク質品質管理をはじめとした様々な生命活動において必須の働きを担っています。近年、がん、神経変性、代謝異常、幹細胞機能維持、老化などのヒトの主要な疾患や生理作用において、プロテアソームの量や活性の上昇あるいは低下が関与していることが明らかになってきました。しかし、プロテアソームの発現や活性がどのように制御されているのか、またこれらの病態や生理とプロテアソーム機能の増減がどのように関連しているのか、その具体的な分子機構はほとんど未解明です。当教室では、プロテアソームを制御するメカニズム、およびプロテアソーム機能の破綻によりこれら病態に至るメカニズムの解明を目指します。
 
ユビキチンプロテアソームシステムによるタンパク質分解の多彩な生理的役割
ユビキチンプロテアソームシステムによるタンパク質分解の多彩な生理的役割 
プロテアソーム機能の破綻とヒトの疾患
プロテアソーム機能の破綻とヒトの疾患 

(医科研)細胞生物化学

http://www.traf6.com
教授:井上 純一郎

疾患発症に関わる細胞内シグナル伝達を解明し、創薬を目指す(医科研・分子発癌)

研究課題
  1. TRAFファミリーによる転写因子NF-κB活性化シグナル
  2. ユビキチン化によるシグナル伝達
  3. 癌の悪性化とシグナル伝達
  4. 骨代謝疾患とシグナル伝達
  5. 自己免疫疾患とシグナル伝達

 研究室のテーマは「癌」「免疫」「骨」である。実は、この3つとも“TRAF6”と”NF-κB”と呼ばれるタンパク質と深く関連している。TRAF6はサイトカインのシグナルをその受容体から受け取り、細胞内へ伝達し、核でのNF-κBによる転写活性化を誘導する。ヒトには種々の骨代謝異常や免疫不全が原因の重篤な疾患が存在するが、それと酷似した疾患がTRAF6やNF-κBのノックアウトマウスで再現される。このことは、TRAF6/NF-κBシグナルが正常な骨形成と免疫の成立に必須であることを示している。またNF-κBの異常な活性化は白血病を始め多くの癌においてその発症や進展に重要な役割を担っている。研究室ではノックアウトマウスの作成及び解析や培養細胞への遺伝子導入実験を駆使して癌化、免疫制御、骨代謝におけるTRAF6/NF-κBシグナルの機能を分子レベルで解明するとともに、その成果を疾患の診断治療、創薬に役立てることを目標としている。
TRAF6は、細胞外からの刺激によって活性化され数種のタンパク質をユビキチン化する。このポリユビキチン鎖は、タンパク質分解は誘導せず、タンパク質間相互作用の足場となり、シグナル複合体の形成を促し、シグナルを伝達する。その結果、転写因子NF-κBやタンパク質リン酸化酵素MAPKの活性化が誘導され、重要な生命現象が制御される。また、その制御異常は、癌をはじめ重篤な疾患発症の原因となる。
TRAF6は、細胞外からの刺激によって活性化され数種のタンパク質をユビキチン化する。このポリユビキチン鎖は、タンパク質分解は誘導せず、タンパク質間相互作用の足場となり、シグナル複合体の形成を促し、シグナルを伝達する。その結果、転写因子NF-κBやタンパク質リン酸化酵素MAPKの活性化が誘導され、重要な生命現象が制御される。また、その制御異常は、癌をはじめ重篤な疾患発症の原因となる。 
正常マウス(左)とTRAF6ノックアウトマウス(右)のX線写真。手足の骨を見ると顕著であるが、正常マウスに比べてTRAF6ノックアウトマウスでは、骨密度が異常に高く骨大理石病を呈する。これは、リウマチや骨粗鬆症の悪化に関与する破骨細胞ができないためである。
正常マウス(左)とTRAF6ノックアウトマウス(右)のX線写真。手足の骨を見ると顕著であるが、正常マウスに比べてTRAF6ノックアウトマウスでは、骨密度が異常に高く骨大理石病を呈する。これは、リウマチや骨粗鬆症の悪化に関与する破骨細胞ができないためである。 



PAGE TOP