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超早期アルツハイマー病の画像診断・バイオマーカー・臨床指標の確立を目指したJ-ADNIへの取り組みにより、岩坪威教授が2012年ポタムキン賞を受賞しました。 ポタムキン賞ホームページはこちらです。 本受賞に関する東京大学からのプレスリリースはこちらです。 本受賞に関するNEDOからのプレスリリースはこちらです。 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 Phosphorylation of α-synuclein at Ser129 reduces neuronal dysfunction by lowering its membrane-binding property in Caenorhabditis elegans Tomoki Kuwahara, Reina Tonegawa, Genta Ito, Shohei Mitani and Takeshi Iwatsubo
近年、無脊椎動物である線虫C.elegansの神経系がパーキンソン病における神経変性のモデルになりうることが示唆されています。私達は代表的な家族性パーキンソン病病因遺伝子であるαシヌクレインおよび各種変異体を神経系に発現させた線虫を用いて、パーキンソン病脳内で特徴的なαシヌクレインのセリン129位リン酸化の役割について解析しました。その結果、αシヌクレインのリン酸化は自身の膜結合性を低下させることにより、神経保護的に働く役割を持つことを見出しました。本知見はαシヌクレインリン酸化をターゲットとした創薬を指向する上で重要な足がかりになるものと期待されます。本研究は東京女子医科大学三谷昌平教授との共同研究成果です。 ![]() "アルツハイマー病:βアミロイドをめぐる分子病態と先制医療への展望"により、岩坪威教授、富田泰輔准教授が第48回(2011年度)ベルツ賞2等賞を受賞しました。 ベルツ賞ホームページはこちらです。 新しい論文がBiochemical Journalに発表されました。 Re-examination of the dimerization state of leucine-rich repeat kinase 2: predominance of the monomeric form Genta Ito and Takeshi Iwatsubo
家族性パーキンソン病(PARK8)の病因遺伝子産物leucine-rich repeat kinase 2(LRRK2)は、2量体として機能することが示唆されていました。しかしながら、私たちは、様々な生化学実験の結果をもとに、LRRK2が実際には主に単量体として存在すること、および2量体化はLRRK2の機能に影響を与えないことを明らかにしました。LRRK2の性状に関するこれまでの誤った理解を修正し、さらに詳細な生化学的性状や機能制御メカニズムに迫る足がかりとなる重要な知見です。 新しい論文がThe EMBO Journalに発表されました。 Phenylpiperidine-type γ-secretase modulators target the transmembrane domain 1 of presenilin 1 Yu Ohki, Takuya Higo, Kengo Uemura, Naoaki Shimada, Satoko Osawa, Oksana Berezovska, Satoshi Yokoshima, Tohru Fukuyama, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo
我々は世界で初めてγセクレターゼモジュレーター(GSM)の結合部位の同定に成功しました。毒性分子種であるAβ42産生を特異的に抑制するGSMはアルツハイマー病根本治療薬として期待されています。私たちは、このGSMの分子機構を探るため、ケミカルバイオロジーと生化学的手法を駆使し、GSM-1という化合物がγセクレターゼの活性中心サブユニットであるプレセニリンの第1膜貫通領域に直接結合し、アロステリックな構造変化を引き起こすことでγセクレターゼ活性を制御することを見出しました。この第1膜貫通領域とGSMの結合様式の解明は、GSMのラショナルなドラックデザインにつながるものであり、新たな観点からのアルツハイマー病根本的治療薬の開発に貢献するものと考えられます。本研究は本学天然物合成化学教室横島聡准教授、福山透教授ら、米国マサチューセッツジェネラルホスピタルOksana Berezovska准教授、植村健吾研究員らとの共同研究により進められました。 本研究内容は2011年12月5日付で信濃毎日新聞に掲載されました。詳細については図をクリックしてください ![]() ![]() 新しい論文がOncogeneに発表されました。 Neutralization of the γ-secretase activity by monoclonal antibody against extracellular domain of nicastrin I Hayashi, S Takatori, Y Urano, Y Miyake, J Takagi, M Sakata-Yanagimoto, H Iwanari, S Osawa, Y Morohashi, T Li, P C Wong, S Chiba, T Kodama, T Hamakubo, T Tomita and T Iwatsubo
我々は世界で初めてNicastrinを標的としたγセクレターゼ活性中和抗体の樹立に成功しました。これまでに報告されたすべてのγセクレターゼ阻害剤はPSを標的分子とすることが示されています。一方、NCTは構成因子の中で最大の細胞外領域を有し、γセクレターゼが基質を捕捉する際に働く「基質受容体」であることが示唆されています。私たちは、このNCTを標的とした新規γセクレターゼ活性制御法のラショナルデザインを目指し、NCTに対する特異的抗体がγセクレターゼ活性に対する機能阻害抗体として働き、アミロイドβ蛋白の産生を抑制する他、γセクレターゼ活性依存性に増殖を示すがん細胞の腫瘍形成を抑制することを見出しました。A5226Aは、γセクレターゼ阻害剤として初めてPS以外の構成因子を作用点とするものであり、その活性阻害機序の解明を通じてγセクレターゼの基質切断機構に新たな知見をもたらすことが期待されます。本研究は東京大学先端科学技術研究センターの浜窪隆雄・児玉龍彦両教授、筑波大学大学院血液内科の千葉滋教授、大阪大学蛋白質研究所の高木淳一教授らとの共同研究により進められました。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 Three-dimensional structure of the signal peptide peptidase Hiroyuki Miyashita, Yuusuke Maruyama, Hayato Isshiki, Satoko Osawa, Toshihiko Ogura, Kazuhiro Mio, Chikara Sato, Taisuke Tomita, and Takeshi Iwatsubo
我々は世界で初めてSignal peptide peptidase(SPP)の三次元構造を明らかにしました。SPPはγセクレターゼの活性中心サブユニットPresenilinと同じ膜内配列切断酵素ファミリーに属し、C型肝炎ウイルスやマラリアの増殖などに関わることが知られている、新規創薬標的分子です。我々はSPPの立体構造の理解を目剤し、単粒子解析による構造解析を行いました。その結果、SPPが4量体構造をとって活性を発揮すること、内部に親水性環境をもつ弾丸様構造をとること、またSPPのN末端領域がその4量体構造の形成に必要であることを見出しました。活性型SPP構造の理解はC型肝炎などの画期的創薬に繋がる可能性があります。本研究は産業技術総合研究所・バイオメディカル研究部門・佐藤主税先生のグループとの共同研究により進められました。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 BACE1 Activity Is Modulated by Cell-Associated Sphingosine-1-Phosphate Nobumasa Takasugi, Tomoki Sasaki, Kunimichi Suzuki, Satoko Osawa, Hayato Isshiki, Yukiko Hori, Naoaki Shimada, Takuya Higo, Satoshi Yokoshima, Tohru Fukuyama, Virginia M.-Y. Lee, John Q. Trojanowski, Taisuke Tomita, and Takeshi Iwatsubo 我々は世界で初めてリゾリン脂質の一つであるスフィンゴシン1リン酸(S1P)が神経細胞においてβセクレターゼであるBACE1の活性を制御する因子であることを見出しました。S1Pは様々な生理活性を持つことが知られている脂質で、その産生酵素の一つSphingosine kinase2により合成されるS1PがBACE1活性制御に関与していること、またこのKinase活性がアミロイド線維により亢進することや、アルツハイマー病患者脳において上昇していることを明らかにしました。すなわち、アミロイド毒性がS1P産生を亢進させ、BACE1活性が上昇し、さらなるAβ産生を引き起こす、Vicious cycleが想定されました。すなわち、S1P産生・代謝経路の異常がアルツハイマー病発症過程および増悪化に大きく関与している可能性が考えられ、新たな治療薬標的パスウェイとなることが期待されます。 本研究内容はAlzforumに"Lipid Modulator Offers New Route to BACE1 Inhibition"としてfeatureされました。 本研究内容は2010年10月8日付で信濃毎日新聞に掲載されました。詳細については図をクリックしてください ![]() ![]() 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 Participation of transmembrane domain 1 of presenilin 1 in the catalytic pore structure of the γ-secretase Shizuka Takagi, Aya Tominaga, Chihiro Sato, Taisuke Tomita, and Takeshi Iwatsubo これまで、γセクレターゼの活性中心サブユニットプレセニリンについてはシステインケミストリーを用いた構造解析法SCAMを用いて活性中心ポア構造の存在を示してきました。今回、世界で初めてプレセニリンのアミノ末端側の第一膜貫通領域の構造解析に成功し、活性中心ポア構造に直接面していることを明らかにしました。そして基質の選択性にも関わっていることをあきらかにしました。さらに阻害剤を利用した解析から、この膜貫通領域が切断過程においてピストン様の上下運動をしていることが示唆されました。これは世界で初めてγセクレターゼのダイナミックな構造変化を示唆した研究成果であり、今後の解析から、γセクレターゼによる膜内配列切断機構についてさらに詳細なメカニズムが明らかになることが期待されます。 ![]() 第29回日本認知症学会において、ポスター発表"γセクレターゼモジュレーターGSM-1はプレセニリンN末端断片を標的とする"により、富田泰輔准教授が学会奨励賞(基礎研究部門)を受賞しました。 学会ホームページはこちらです。 セクレターゼ活性阻害・制御薬に関する最新の知見について、2010年10月8日付で信濃毎日新聞に掲載されました 「予防薬研究 酵素にも注目」 詳細については図をクリックしてください。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 A noncompetitive BACE1 inhibitor TAK-070 ameliorates A pathology and behavioral deficits in a mouse model of Alzheimer's disease Hiroaki Fukumoto, Hideki Takahashi, Naoki Tarui, Junji Matsui, Taisuke Tomita, Mitsuhiro Hirode, Masumi Sagayama, Ryouta Maeda, Makiko Kawamoto, Kazuko Hirai, Jun Terauchi, Yasufumi Sakura, Mitsuru Kakihana, Kaneyoshi Kato, Takeshi Iwatsubo, Masaomi Miyamoto BACE1はアミロイドβペプチド(Aβ)産生の律速酵素であり、Aβ抑制療法の標的分子として注目されてきましたが、その阻害薬開発は遅れていました。今回、武田薬品工業創薬研究所の福元宏明主席研究員と我々は、経口投与によりADモデルトランスジェニック(Tg2576)マウス脳でBACE1を抑制する低分子化合物TAK-070の開発に成功しました。TAK-070は(R)-6-[(1,1'-biphenyl)-4-ylmethoxy]- 1,2,3,4-tetrahydro-N,N-dimethyl-2-naphthaleneethanamine hydrochlorideというユニークな構造を持ち、BACE1の膜貫通部分に結合することにより、非競合的にBACE1を抑制するものと考えられます。培養細胞におけるAβ産生抑制能は比較的modestであるものの、Tg2576マウス脳でも同程度にAβ産生を抑制し、その効果は慢性投与実験でも保持されました。またTAK-070の投与はTg2576マウスのY-maze, Morris water maze, novel object recognition などの行動試験における異常を改善しました。TAK-070に代表される、脳移行性の高い経口BACE1低分子阻害薬の、近未来における臨床応用がおおいに期待されます。 本研究内容はAlzforumに"Getting to First BACE: BACE1 Inhibition Takes A Step Forward"としてfeatureされました。 ![]() 2010年度包括脳ネットワーク 夏のワークショップにおいて、当研究室一色君のポスター"Identification and functional analysis of a substrate-specific genetic modulator for γ-secretase cleavage"が包括脳ネットワーク優秀若手賞(神経科学学会賞、審査分野:病態)を受賞しました! 学会ホームページはこちらです。 ICAD2010にて、岩坪教授がHenry Wisniewski Lifetime Achievement Awardを受賞しました! 免疫染色を用いた老人斑におけるAβ42の存在の証明から、γセクレターゼの機能構造生物学、パーキンソン病におけるレビー小体の精製とシヌクレインの同定、そして近年ではJ-ADNIの臨床研究に至るmultidisciplinaryな功績が認められました。 At AAICAD 2010, the 2010 Henry Wisniewski Lifetime Achievement Award was presented to Dr. Takehsi Iwatsubo. Dr. Iwatsubo is a neuropathologist/neurologist who has contributed to the elucidation of the pathomechanism of human neurodegenerative disorders, especially Alzheimer’s disease, using multidisciplinary approaches. He demonstrated that Aβ42 is the initially and predominantly deposited species in senile plaque amyloid by immunohistochemistry using specific antibodies. He demonstrated that mutations in presenilin genes cause familial Alzheimer’s disease by increasing the production of Aβ42, elucidated the process of formation of γ-secretase complex, and showed that the γ-secretase complex harbors a water-permeable pore through which intramembrane proteolysis takes place. He also developed a method to isolate and purify Lewy bodies from human brains and showed that α-synuclein, a hyperphoshorylated form, is a component of Lewy bodies. He recently lead the Japanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (ADI),; initiated a nationwide longitudinal imaging/biomarker study on MCI and Alzheimer’s disease, aiming at bridging the basic disease neuroscience to the clinic; and worked to develop standard surrogate markers for clinical trials of disease-modifying drugs for Alzheimer’s disease. 学会ホームページはこちらです。 NEDOプレスリリースはこちらです。 新しい論文がBioorganic & Medicinal Chemistry Lettersに発表されました。 Novel Notch-sparing γ-secretase inhibitors derived from a peroxisome proliferator-activated receptor agonist library Motonori Kurosumi, Yoshino Nishio, Satoko Osawa, Hisayoshi Kobayashi, Takeshi Iwatsubo, Taisuke Tomita, Hiroyuki Miyachi γセクレターゼ阻害剤はアルツハイマー病の根本治療薬として期待されていますが、細胞の分化・維持に関わるNotchシグナルにも必要なプロテアーゼであるため、その単純な阻害は重篤な副作用を惹起します。我々は新規γセクレターゼ阻害剤の探索を行うべく、PPARγアゴニスト誘導体ライブラリーを探索し、Notchシグナルを保持したままAβ産生を抑制する新規Notch-sparing GSIの同定と開発に成功しました。本化合物は新規治療薬開発のシードとなる他、基質特異的な阻害剤開発にを目指したケミカルバイオロジー研究において重要なプローブとなることが期待されます。本研究は岡山大学宮地弘幸教授との共同研究成果です。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 Functional analysis of the transmembrane domains of presenilin 1: Participation of transmembrane domains 2 and 6 in the formation of initial substrate-binding site of γ-secretase Naoto Watanabe, Shizuka Takagi, Aya Tominaga, Taisuke Tomita, Takeshi Iwatsubo γセクレターゼはプレセニリン、ニカストリン、Aph-1、Pen-2を最小構成因子とする膜蛋白複合体です。活性中心サブユニットであるプレセニリンには活性中心ポア構造の他、基質を脂質二重膜内で側方より捕捉する基質結合部位(Initial substrate-binding site)の存在が示唆されています。本研究においてはシステマチックにプレセニリン1(PS1)の膜貫通領域(TMD)を置換してその変異体の機能解析を行う、以前の研究(Watanabe et al., JBC 2005)をさらに進めました。そして各TMDが活性型γセクレターゼ形成過程において果たす役割について明らかにしました(スキーム)。また化合物を利用したケミカルバイオロジーや、システインを用いたクロスリンク実験などを活用し、TMD2とTMD6がPS1の基質結合部位形成に重要であることを明らかにしました。PSの基質結合部位の詳細を明らかにすることによって、基質特異的なγセクレターゼ活性制御、すなわち、副作用の少ないアルツハイマー病治療薬創成につながる可能性があります。 本研究内容はAlzforumに"Divide and Conquer: Structure-Function Victories With Presenilin 1"としてfeatureされました(http://www.alzforum.org/new/detail.asp?id=2431)。 ![]() 新しい論文がBioorganic & Medicinal Chemistry Lettersに発表されました。 Development of Photoaffinity Probes for gamma-Secretase Equipped with a Nitrobenzenesulfonamide-type Cleavable Linker Satoshi Yokoshima, Yuzo Abe, Naoto Watanabe, Yoichi Kita, Toshiyuki Kan, Takeshi Iwatsubo, Taisuke Tomita, Tohru Fukuyama γセクレターゼはプレセニリン、ニカストリン、Aph-1、Pen-2を最小構成因子とする膜蛋白複合体ですが、非常に大きな複合体を形成していることなどから、その構成因子には多様性があることが示唆されています。したがってそれぞれ特有のγセクレターゼ複合体を効率よく、穏和な条件で精製することが求められています。また我々は光親和性標識実験による各γセクレターゼ阻害剤と標的分子を架橋して解析を行ってきましたが、その結合部位のために阻害剤と蛋白の高効率精製法の確立が必要でした。今回、私たちは還元条件下で効率よく切断されるニトロベンゼンスルホンアミド官能基を含む新規リンカーの開発に成功しました。今後このリンカーをさらに改変していくことで、各種阻害剤に結合するgセクレターゼ複合体の新規構成因子の同定につながることが期待されます。本研究は、本学天然物合成化学教室(福山透教授、横島聡講師)との共同研究成果です。 新しい論文がCancer Scienceに発表されました。 Dual antitumor mechanisms of Notch signaling inhibitor in a T-cell acute lymphoblastic leukemia xenograft model. Shigeo Masuda, Keiki Kumano, Takahiro Suzuki, Taisuke Tomita, Takeshi Iwatsubo, Hideaki Natsugari, Arinobu Tojo, Makoto Shibutani, Kunitoshi Mitsumori, Yutaka Hanazono, Seishi Ogawa, Mineo Kurokawa and Shigeru Chiba γセクレターゼはアルツハイマー病にかかわるアミロイドβ産生のみならず、細胞の分化・維持に深くかかわるNotchシグナリングに必要な酵素です。近年、Notchシグナルの異常がさまざまながんの発症にかかわることが示されつつあり、γセクレターゼ活性制御によるがん治療法開発が注目を浴びています。今回私たちはγセクレターゼ阻害剤がT細胞性急性リンパ性白血病モデルに有効であることを示し、その分子機構について、がん細胞をアポトーシスに導くcell autonomousな効果と、血管新生に対するnon cell autonomousな効果があることを明らかにしました。本研究は筑波大学千葉滋教授、帝京大学夏苅英昭教授との共同研究成果です。 新しい論文がBiochemistryに発表されました。 Identification of autophosphorylation sites of LRRK2 Shogo Kamikawaji, Genta Ito, Takeshi Iwatsubo under construction 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 Aβ immunotherapy: intracerebral sequestration of Aβ by an anti-Aβ monoclonal antibody 266 with high affinity to soluble Aβ Kaoru Yamada, Chiori Yabuki, Peter Seubert, Dale Schenk, Yukiko Hori, Sumio Ohtsuki, Tetsuya Terasaki, Tadafumi Hashimoto, Takeshi Iwatsubo アルツハイマー病の病因にはAβペプチドからなるβアミロイドの脳内蓄積が重要と考えられています。共同研究者のSchenk博士は、Aβを接種したアミロイド前駆体トランスジェニックマウス脳でβアミロイドの蓄積が顕著に抑制されることから「Aβワクチン療法」を開発しました。この効果は血液中に産生された抗Aβ抗体によることが示され、現在ヒト化抗Aβ抗体を投与する受動免疫療法の臨床治験が開始されています。しかし、脳の外から投与された抗体が、どのようなメカニズムによって脳内のAβ蓄積を抑制するのかは不明でした。特に、現在治験の進められている抗体のいくつかは、血液中で作用し、脳からのAβ排出を促進する(「シンク効果」)と信じられてきましたが、それを実証する知見はありませんでした。今回私たちは、シンク効果を生じると考えられてきた代表的なモノクローナル抗体266が、脳からAβを引き抜くのとは逆に、脳内に進入して治療効果を生じていることを示しました。アルツハイマー病の脳では、単量体型で産生されたAβが、障害性の高いオリゴマーを経て、アミロイドとして蓄積するものと考えられています。今回の結果は、抗Aβ抗体が脳内に進入して可溶・単量体型のAβに結合、これをオリゴマーやアミロイド等の多量体の形成過程から隔離し、阻害するという新規の作用メカニズムを提起するものです。以上の研究内容については、こちら(PDFファイル)もご覧ください。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 Single chain variable fragment against Nicastrin inhibits the γ-secretase activity Ikuo Hayashi, Sho Takatori, Yasuomi Urano, Hiroko Iwanari, Noriko Isoo, Satoko Osawa, Maiko A. Fukuda, Tatsuhiko Kodama, Takao Hamakubo, Tong Li, Philip C. Wong, Taisuke Tomita, and Takeshi Iwatsubo 今回、私たちは世界で初めてモノクローナル抗体誘導体を用いたγセクレターゼ活性制御法の開発に成功しました。γセクレターゼはアルツハイマー病脳に蓄積するAβペプチドの産生を行う膜結合型複合体を本態とする酵素です。その構成因子の一つであるニカストリン(Nicastrin)は大きな細胞外領域を持ちます。今回ニカストリンの細胞外領域に対する新規モノクローナル抗体の樹立に成功し、この抗体を基に単鎖抗体を作出しました。この単鎖抗体を培養細胞に発現させたところ、ニカストリン細胞外領域の糖鎖修飾および構造異常を惹起することでγセクレターゼの不安定化を引き起こし、Aβペプチド産生が抑制されることを見出しました。この結果は、ニカストリンの細胞外領域がγセクレターゼの安定性及び活性に重要な役割を果たしていることを示します。またニカストリンがγセクレターゼ活性を制御する創薬標的となりうることを世界で初めて示しました。将来的には、生物製剤の一つとして着目されている「抗体医薬」によるγセクレターゼ活性の制御法開発へつながることが期待されます。本研究は本学先端研 児玉龍彦教授、浜窪隆雄教授との共同研究成果です。 ![]() 2009年度米国神経科学会(Society for Neuroscience 2009)のプレス向けメディア資料において、当研究室からの下記演題がHot topicsとして選ばれました! Title: Helical β-peptide foldamers specifically inhibit the γ-secretase activity 新しい論文がJournal of the American Chemical Societyに発表されました。 Inhibition of γ-secretase activity by helical β-peptide foldamers Yuki Imamura, Naoto Watanabe, Naoki Umezawa, Takeshi Iwatsubo, Nobuki Kato, Taisuke Tomita, Tsunehiko Higuchi アルツハイマー病脳に老人斑として蓄積するAβペプチドの産生にかかわるγセクレターゼは重要な創薬標的分子ですが、その単純な阻害は発生・分化にかかわるNotchシグナルの抑制などによる副作用が予見されており、γセクレターゼの基質認識および切断機構に基づいたラショナルな活性制御化合物の開発が求められています。今回βアミノ酸と呼ばれる非天然アミノ酸を用い、基質となる膜貫通領域を模倣するヘリックス構造を固定したβペプチドフォルダマーが強力なγセクレターゼ阻害剤となることを見出しました。また光親和性標識法などのケミカルバイオロジー的手法を駆使することで、その作用点がγセクレターゼの基質認識部位であることを明らかにしました。今後このフォルダマーのデザインを改変していくことで、Aβペプチドの産生のみを特異的に抑制することが可能な、基質特異的γセクレターゼ阻害剤の開発につながることが期待されます。本研究は、名古屋市立大学精密有機反応学分野(樋口恒彦教授、梅澤直樹准教授)との共同研究成果です。 詳細はこちら(PDFファイル) ![]() 当研究室大学院生の高木さんが平成20年度第2回学生表彰「東京大学総長賞」を受賞しました! 受賞内容要約:γセクレターゼは、アルツハイマー病の病因タンパク質アミロイドβを作り出す酵素であり、根本治療薬開発においてターゲットタンパク質として注目されている。高木氏は、γセクレターゼの詳細な構造をシステイン置換法(SCAM)と呼ばれる手法を用いて解明し、γセクレターゼ阻害剤の分子機構を明らかにした。この研究成果は、治療薬開発において重要な情報をもたらすものであるとして、国際アルツハイマー病学会において多くの研究者や製薬企業からの耳目を集め、アルツハイマー病研究者のためのネットコミュニティAlzforumにおいて高い評価を得た。このような業績および「意志あるところに道あり」をモットーとする研究姿勢が高く評価された。 授与式は3/23に行われます。 岩坪教授がMetlife賞を受賞しました! MetLife Foundation to Award Scientists for Research in Alzheimer's Disease Each winner receives a $200,000 research grant and personal prize of $50,000 詳細はこちら(PDFファイル)をご覧ください Alzforumでも紹介されました! 第15回武田科学振興財団生命科学シンポジウムにおいて、当研究室一色君のポスター" Identification and analysis of a substrate-specific genetic modulator for gamma-secretase activity."がポスター賞を受賞しました! 第3回Notch研究会(若手の会)において、当研究室林さんのポスター"The role of Notch signaling in synaptogenesis"がポスター賞を受賞しました! 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 The Low Density Lipoprotein Receptor-related Protein 1 Mediates Uptake of Amyloid β Peptides in An In Vitro Model of the Blood-Brain Barrier Cells. Kaoru Yamada, Tadafumi Hashimoto, Chiori Yabuki, Yusuke Nagae, Masanori Tachikawa, Dudley K. Strickland, Qiang Liu, Guojun Bu, Jacob M. Basak, David M. Holtzman, Sumio Ohtsuki, Tetsuya Terasaki and Takeshi Iwatsubo under construction 新しい論文がHuman Molecular Geneticsに発表されました。 A Systematic RNAi Screen Reveals Involvement of Endocytic Pathway in Neuronal Dysfunction in α-Synuclein Transgenic C. elegans Tomoki Kuwahara, Akihiko Koyama, Shingo Koyama, Sawako Yoshina, Chang-Hong Ren, Takeo Kato, Shohei Mitani, and Takeshi Iwatsubo パーキンソン病やレビー小体型認知症では脳内にα-シヌクレインが蓄積し、またα-シヌクレイン遺伝子の変異はこれらの疾患を引き起こすことが知られています。今回、ヒトα-シヌクレインを神経系に過剰発現する線虫(C. elegans)を作出し、さらにα-シヌクレイン発現依存的に神経障害性を引き起こす遺伝子を網羅的RNAiスクリーニングにより探索しました。その結果、アダプタータンパク質AP-2のサブユニットをはじめとするエンドサイトーシス関連遺伝子の抑制により、α-シヌクレインによる神経障害性が増強されることが分かりました。本研究で作出した線虫はヒト疾患の病態を再現するモデルとして今後薬物スクリーニングなど創薬への応用が期待されます。 ![]() 上図:AP-2 αサブユニットapa-2のRNAiにより、α-シヌクレイン発現ライン(右)特異的に成長阻害が認められる。 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 The C-terminal PAL motif and transmembrane domain 9 of Presenilin 1 are involved in the formation of the catalytic pore of the γ-secretase Chihiro Sato, Shizuka Takagi, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo 当教室からの研究成果がAlzforumにおいてトップ記事としてfeatureされました! 2008年3月Keystone meetingにおいて発表した、γ-secretaseに関する構造活性相関解析に関する最新の知見について、Alzforumの"Keystone Basic Science News"のトップ記事としてfeatureされました("γ Slowly Relinquishes Its Secrets" http://www.alzforum.org/new/detail.asp?id=1812)。γ-secretaseによる膜内配列切断機構において、どのようにして基質が活性中心ポアに移動してくるのかについて、システインケミストリーを利用したSCAMにより解明した成果です。以上の研究内容については、こちら(PDFファイル)もご覧ください。 ![]() 当教室からの論文"The role of presenilin cofactors in the gamma-secretase complex. Nature. 2003 Mar 27;422(6930):438-41."、および"APP processing and synaptic function. Neuron. 2003 Mar 27;37(6):925-37."がAlzforumにおいて2003年度Milestone Paperとして選出されました! Alzforum(http://www.alzforum.org/)は全世界のアルツハイマー病・神経変性疾患研究者が自由に参加できるウェブ上のサイエンスコミュニティです。原著研究論文の中でもNewsとなったものや高いCitationを持つ論文は、出版されて4年後に"Milestone nominees"として、選出されます。その中から各研究者によってオンライン投票が行われ、現在のアルツハイマー病研究に大きな進歩・理解をもたらした論文が"Milestone paper"として選出されます。私たちの研究成果がこのようにサイエンスコミュニティから認められたことは大変名誉なことであり、今後も未来につながる研究を展開させていきたいと考えています。 当研究室からの論文"Divergent Synthesis of Multifunctional Molecular Probes Enabled Elucidation of the Enzyme Specificity of Dipeptidic gamma-Secretase Inhibitors on Presenilin-Type Aspartic Proteases."がMost-Accessed Articles: July-September, 2007で15位を、Most-Cited Articles published in 2007 and cited through the period ending December 31, 2007で10位を獲得しました! 当研究室からの論文"GTP binding is essential to the protein kinase activity of LRRK2, a causative gene product for familial Parkinson's disease."がBiochemistry誌のMost-Accessed Articles: January-March, 2007で16位を、Most-Cited Articles Published in 2007で6位を獲得しました! 新しい論文がNeuroscience Lettersに発表されました。 Cytoplasmic localization and proteasomal degradation of N-terminally cleaved form of PINK1 Sho Takatori, Genta Ito and Takeshi Iwatsubo PINK-1は劣性遺伝性のパーキンソニズムの病因遺伝子として同定されましたが、その代謝過程には不明の点が残されていました。今回PINK-1はアミノ末端側のシグナル配列によりミトコンドリアにターゲットされること、N末端を欠いた断片型PINK-1タンパク質がプロテアソームによる分解を受けることを明らかにしました。 ![]() 新しい論文がACS Chemical Biologyに発表されました。 Divergent Synthesis of Multifunctional Molecular Probes to Elucidate the Enzyme Specificity of Dipeptidic γ-Secretase Inhibitors Haruhiko Fuwa, Yasuko Takahashi, Yu Konno, Naoto Watanabe, Hiroyuki Miyashita, Makoto Sasaki, Hideaki Natsugari, Toshiyuki Kan, Tohru Fukuyama, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo 近年、複数のγセクレターゼ阻害剤がPS型アスパラギン酸プロテアーゼであるSignal peptide peptidase(SPP)の活性も交叉阻害することが明らかとなっています。その一方でDAPTのようなγセクレターゼ特異的阻害剤の存在も知られていますが、その作用機序の違いについては不明でした。また分子プローブをツールとするケミカルバイオロジー研究においては、多様な標識基・リンカーを持つプローブの(フォーカスド)ライブラリー化およびその迅速なスクリーニングにより、プローブの機能を効率的に最適化することが不可欠です。そこで今回、クリックケミストリーを用い、多様な光親和性標識基およびリンカーと、ビオチン基を簡便かつ効率的に導入する合成法を確立しました。そして本合成法をジペプチド型γセクレターゼ阻害剤であり、かつSPPとも交叉阻害するCompound EおよびDBZに適用し、CE-BpB、DBZ-BpBの合成に成功しました。これらの化合物を光親和性標識プローブとして用い、CEおよびDBZがプレセニリンのN末端断片およびSPPを直接標的としていることを見出しました。またそのプレセニリン分子内での結合部位が、SPPに交叉阻害を示さないDAPTと位置・機能的に異なることを明らかにしました。本研究はケミカルバイオロジー的アプローチによってγセクレターゼ阻害剤の酵素特異性の分子機序の一端を明らかにしたという意味で、有意義な研究成果です。本研究は、本学COEプロジェクトの一つとして行われた、天然物合成化学教室・創薬理論科学教室との共同研究成果です。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 Aβ42 overproduction associated with structural changes in the catalytic pore of γ-secretase: common effects of Pen-2 amino-terminal elongation and fenofibrate Noriko Isoo, Chihiro Sato, Hiroyuki Miyashita, Mitsuru Shinohara, Nobumasa Takasugi, Yuichi Morohashi, Shoji Tsuji, Taisuke Tomita, and Takeshi Iwatsubo 老人斑としてアルツハイマー病脳に蓄積するAβペプチドのうち、特にAβ42は凝集性が高く、病初期から蓄積が見られること、また家族性アルツハイマー病を起こす遺伝子変異によりその産生が特異的に上昇することなどから、その発症機序に重要な役割を果たすことが指摘されています。今回γセクレターゼ構成因子Pen-2のN末タグによる変化をきっかけとして、Aβ42産生活性上昇に伴いγセクレターゼの活性中心ポアが構造変化していることを見出しました。この結果は、副作用の少ないアルツハイマー病治療薬への応用が期待されているγセクレターゼモジュレーターの作動機序を説明する可能性があります。引き続き活性中心ポアを含めたγセクレターゼの構造と活性の相関を検討していくことで、将来的に創薬につながることが期待されます。 ![]() 新しい論文がBiochemistryに発表されました。 GTP binding is essential to the protein kinase activity of LRRK2, a causative gene product for familial Parkinson's disease Genta Ito, Takuro Okai, Go Fujino, Kohsuke Takeda, Hidenori Ichijo, Toshiaki Katada, Takeshi Iwatsubo 家族性パーキンソン病(PARK8)の病因遺伝子LRRK2は、家族性のみならず孤発性のパーキンソン病においてもアミノ酸変異が見られることから、パーキンソン病の病因への関与が注目されています。LRRK2蛋白質は、同一分子内に低分子量GTP結合蛋白質様のROCドメインと、キナーゼドメインを併せ持つユニークな構造が特徴的ですが、両者の機能的関連は不明でした。今回LRRK2が細胞内でGTP結合型として存在すること、GTP結合能を失った変異型LRRK2を用いて、ROCドメインへのGTP結合がLRRK2のキナーゼ活性にとって必須であることを明らかにしました。今後LRRK2の機能とその変異による異常を明らかにし、パーキンソン病の分子病態に迫る第一歩となる重要な基礎的知見です。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Biological Chemistryに発表されました。 The Tottori (D7N) and English (H6R) familial Alzheimer's disease mutations accelerate Aβ fibril formation without increasing protofibril formation Yukiko Hori*, Tadafumi Hashimoto*, Yosuke Wakutani, Katsuya Urakami, Kenji Nakashima, Margaret M. Condron, Satoshi Tsubuki, Takaomi C. Saido, David B. Teplow, and Takeshi Iwatsubo (* contributed equally to this study) 脳内に分泌されたAβが凝集する過程で神経細胞死を引き起こすことは、アルツハイマー病発症に重要なステップであると考えられている。そして近年、神経細胞死を起こすAβの分子種としてprotofibrilと呼ばれる可溶な凝集中間体が注目されている。今回堀らはAβ内部に位置し、家族性アルツハイマー病を引き起こす鳥取型(D7N)、英国型(H6R)の二つの点突然変異に注目し、これらの変異が構造変化の核形成には影響を与えないものの、その後の線維伸長を促進することを明らかにした。さらに線維伸長過程を詳細に検討したところ、二つの変異はArctic型変異(E22G)で見られるようなprotofibril形成の促進(図右)とは異なり、アミロイド線維自身の形成を促進している(図左)ことを見いだした。この結果は、protofibrilだけでなくアミロイド線維形成の促進もアルツハイマー病発症を引き起こすことを意味し、今後Aβ凝集メカニズム解明、そして凝集抑制を指標とするアルツハイマー病根本治療薬の開発に重要な知見を与えるものである。 ![]() 新しい論文がThe Journal of Neuroscienceに発表されました。 Structure of the catalytic pore of γ-secretase probed by the accessibility of substituted cysteines Chihiro Sato, Yuichi Morohashi, Taisuke Tomita, Takeshi Iwatsubo 疎水性である脂質二重膜内に存在する膜貫通配列に対して、どのようにしてγセクレターゼがイオン化された水を必要とする加水分解反応を行っているのかについて、その分子機構はまったく不明でした。今回システインに対して親水性環境下でのみ反応するMTS試薬を用い、活性中心となるアスパラギン酸を含む膜貫通領域内の各アミノ酸について、どのような環境にあるかを検討しました。その結果、γセクレターゼの活性中心は脂質二重膜内に存在する親水性の孔(ポア)に面していることが明らかになりました。また各種阻害剤を用い、切断反応に直接関与しているアミノ酸残基を複数同定しました。今後このような構造情報を元に、γセクレターゼの構造活性相関・化合物による阻害機構の解明が可能になると期待されます。本研究は、The Journal of NeuroscienceのThis Week in The Journal(TWIJ Article)に選ばれました。 ![]() 新しい論文がBioorganic & Medicinal Chemistry Lettersに発表されました。 Novel γ-secretase inhibitors discovered by library screening of in-house synthetic natural product intermediates Yasuko Takahashi, Haruhiko Fuwa, Akane Kaneko, Makoto Sasaki, Satoshi Yokoshima, Hifumi Koizumi, Tohru Takebe, Toshiyuki Kan, Takeshi Iwatsubo, Taisuke Tomita, Hideaki Natsugari, and Tohru Fukuyama 新規骨格を持つγセクレターゼ阻害剤の同定は、副作用の少ないアルツハイマー病治療薬開発の上で、必須であると考えられます。今回、本学天然物合成化学教室・創薬理論科学教室との共同研究により、天然物合成中間体を主とする新規in house化合物ライブラリーを作製し、本研究室にて開発されたin vitro γセクレターゼアッセイを用いてスクリーニングしたところ、二つの新規骨格を持つ化合物がγセクレターゼ活性を阻害することを見出し、その構造展開により構造活性相関を試みました。今後この化合物をシードとし、新たな阻害剤探索を試みると同時に、光親和性標識などの分子プローブ化技術を応用することにより、その阻害機構を分子レベルで明らかにすることが可能になると期待されます。本研究は、本学COE「戦略的基礎創薬科学」のプロジェクトとして行われた共同研究成果です。 ![]() 新しい論文がBiochemical and Biophysical Research Communicationsに発表されました。 Three-dimensional structure of the γ-secretase complex. Toshihiko Ogura, Kazuhiro Mio, Ikuo Hayashi, Hiroyuki Miyashita, Rie Fukuda, Raphael Kopan, Tatsuhiko Kodama, Takao Hamakubo, Takeshi Iwatsubo, Taisuke Tomita, Chikara Sato. γセクレターゼの三次元構造解析はその作動機序の解明・特異的阻害剤の開発の上で、必須であると考えられます。しかしγセクレターゼのような高分子量膜蛋白複合体の構造解析は、X線結晶解析等の通常の方法では困難です。今回、産業技術総合研究所・脳神経情報研究部門・佐藤主税先生のグループとの共同研究により、電子顕微鏡とイメージプロセッシングによる単粒子解析法により、バキュロウイルス・Sf9細胞発現系において再構成されたγセクレターゼの三次元構造を世界で初めて明らかにすることに成功しました。今後この技術を応用することにより、γセクレターゼの作動機序・化合物の阻害メカニズムを分子レベルで明らかにすることが可能になると期待されます。 ![]() 新しい論文がMolecular Neurodegenerationに発表されました。 Presenilin-dependent intramembrane cleavage of ephrin-B1. Taisuke Tomita, Sayaka Tanaka, Yuichi Morohashi and Takeshi Iwatsubo どのような蛋白がγセクレターゼによる膜内配列切断の基質となっているかということは、γセクレターゼ阻害剤によるアルツハイマー病治療における副作用を考える上でも重要です。今回ephrin-B1がγセクレターゼの基質であること、その切断によってアクチン性突起の伸長に影響を及ぼすことを見出しました。ephrin-BはEphレセプターとの相互作用を介して異種細胞間情報伝達に寄与しており、神経細胞のシナプス可塑性への関与も報告されています。今後γセクレターゼ阻害剤によるephrin-Bの切断抑制が、脳内でどのような効果を引き起こすかを明らかにすることが重要であると考えられます。 ![]() 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Carboxyl-terminal fragment of presenilin is the molecular target of a dipeptidic γ-secretase-specific inhibitor DAPT Yuichi Morohashi, Toshiyuki Kan, Yusuke Tominari, Haruhiko Fuwa, Yumiko Okamura, Naoto Watanabe, Chihiro Sato, Hideaki Natsugari, Tohru Fukuyama, Takeshi Iwatsubo, and Taisuke Tomita γセクレターゼ阻害剤がどのような分子メカニズムによって酵素活性を阻害するかということは、新規阻害剤の探索のみならず、その切断機構の理解の上で重要です。今回γ-secretase特異的阻害剤であるDAPT(A)に、光親和性標識基・ビオチン基を導入したDAP-BpB(B)の合成に成功しました。そしてこの化合物を分子プローブとして用い、DAPTの標的分子がプレセニリンC末端断片であり、基質が活性中心に移行する過程を阻害している可能性を見出しました。本研究はこれまで作用点が明らかでなかったDAPTの作用機序を世界で初めて明らかにしたと同時に、ケミカルバイオロジー的アプローチによってγ-secretaseの切断機構の一端を明らかにしたという意味で、有意義な研究成果です。今後同様の手法により、様々な化合物の作用機序を明らかにすることができるものと期待されます。本研究は、本学COEプロジェクトの一つとして行われた、天然物合成化学教室・創薬理論科学教室との共同研究成果です。 ![]() 新しい論文がBiochemical and Biophysical Research Communicationsに発表されました。 Roles of distinct cysteine residues in S-nitrosylation and dimerization of DJ-1 Genta Ito, Hiroyoshi Ariga, Yasuhito Nakagawa and Takeshi Iwatsubo 家族性パーキンソニズム(park7)の病因遺伝子産物DJ-1蛋白質は、3つのシステイン残基を持ち、そのうちCys106が酸化ストレス耐性に重要であることが示されていましたが、他のシステイン残基の役割は不明でした。今回DJ-1がCys46, Cys53でS-ニトロシル化を受けること、Cys46は二量体化にも重要な役割を果たすことを培養細胞を用いたラベリング実験から明らかにしました。パーキンソニズムと酸化ストレスの関係を追求する上で興味深い結果と考えられます。 ![]() 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Familial Parkinson mutant α-synuclein causes dopamine neuron dysfunction in transgenic C. elegans Tomoki Kuwahara, Akihiko Koyama, Keiko Gengyo-Ando, Mayumi Masuda, Hisatomo Kowa, Makoto Tsunoda, Shohei Mitani, and Takeshi Iwatsubo α-シヌクレインはパーキンソン病の変性ニューロンにレビー小体として蓄積し、家族性パーキンソン病の病因遺伝子でもあることから原因との関連が注目されています。今回東京女子医大・三谷昌平博士の協力により、ドパミン性神経細胞に家族性パーキンソン型変異α-シヌクレインを発現するトランスジェニック線虫(C. elegans)を作出し、ドパミン神経細胞の異常を再現することに成功しました。今後関連遺伝子の解析や創薬に有力なモデルとなることが期待されます。 ![]() 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Pen-2 is incorporated into the γ-secretase complex through binding to transmembrane domain 4 of presenilin 1 Naoto Watanabe, Taisuke Tomita, Chihiro Sato, Toshio Kitamura, Yuichi Morohashi, and Takeshi Iwatsubo PS、Nct、Aph-1、Pen-2の四つの膜蛋白からなる複合体γセクレターゼの構造学的解析は非常に困難です。しかしその構造活性相
関情報は、創薬の上でも重要です。今回渡邊らは、PSの各膜貫通領域を異なる蛋白にスワップした変異体を用いて検討しました。その結果、Pen-2が
PS1のTMD4に直接結合することがあきらかとなりました。 ![]() 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Aph-1 contributes to the stabilization and trafficking of the γ-secretase complex through mechanisms involving inter- and intramolecular interactions Manabu Niimura, Noriko Isoo, Nobumasa Takasugi, Makiko Tsuruoka, Kumiko Ui-Tei, Kaoru Saigo, Yuichi Morohashi, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 CLAC binds to amyloid beta peptides through the positively-charged amino acid cluster within the collagen domain 1 and inhibits formation of amyloid fibrils Yoshihide Osada, Tadafumi Hashimoto, Akiko Nishimura, Yoko Matsuo, Tomoko Wakabayashi and Takeshi Iwatsubo 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Selective reconstitution and recovery of functional γ-secretase complex on budded baculovirus particles Hayashi I, Urano Y, Fukuda R, Isoo N, Kodama T, Hamakubo T, Tomita T, Iwatsubo T アルツハイマー病の脳アミロイドの主成分であるAβペプチドを膜内で切り出すγセクレターゼは、プレセニリンをはじめとする4種類の膜蛋白の複合体から成ることから、in vitroで、高いプロテアーゼ活性を保った状態で再構成することは困難でした。今回林らは、東大先端研の浜窪・児玉教授のグループとの共同研究により、バキュロウィルスの発芽小胞上に、ヒト型γセクレターゼを高い効率で再構成することに成功しました。今回確立された方法を用いることにより、γセクレターゼの構造活性相関の解明や、効率的な阻害剤のスクリーニングが飛躍的に進むものと期待されます。 図はバキュロウイルスから発芽する発芽小胞上にγ-secretase複合体を発現させる模式図 ![]() 新しい論文がAmerican Journal of Pathologyに発表されました。 Mostly separate distributions of CLAC- versus Aβ40- or thioflavin S-reactivities in senile plaques reveal two distinct subpopulations of β-amyloid deposits Kowa H, Sakakura T, Matsuura Y, Wakabayashi T, Mann DMA, Duff K, Tsuji S, Hashimoto T, Iwatsubo T アルツハイマー病の脳に蓄積する老人斑のアミロイドには、Aβペプチド以外にも様々な蛋白質性成分が含まれることが知られています。我々の研究室では、神経細胞特異的に発現する膜結合型コラーゲンCLAC-Pの細胞外部分がCLAC蛋白として老人斑に蓄積することを見出しました(HashimotoT. et al. EMBO J, 2002)。今回古和らは、アルツハイマー脳に多発するCLAC陽性老人斑は、thioflavinSやAβ40陽性を示す典型的なアミロイド斑とオーバーラップしない、特異なサブポピュレーションを形成することを病理学的に示しました。この結果は、CLACがアミロイド蓄積に果たす役割を考える上で、重要な手掛かりを与えるものです 図はアルツハイマー病患者脳老人斑においてCLACとAbの共焦点顕微鏡による観察像。CLACはAb42(左)と共存するが、Ab40(右)とは相反する染色像を示す。 ![]() 新しい論文がNatureに発表されました。 The role of presenilin cofactors in the γ-secretase complex Nobumasa Takasugi, Taisuke Tomita, Ikuo Hayashi, Makiko Tsuruoka, Manabu Niimura, Yasuko Takahashi, Gopal Thinakaran and Takeshi Iwatsubo γ-secretase複合体に含まれる構成因子として、活性中心を担っていると考えられているプレセニリン(PS)のほかに、ニカストリン(NCT)、APH-1、PEN-2が同定されています。これらの因子はいずれもγ-secretase活性に必須であることが知られていますが、それぞれの役割については不明でした。そこで私たちはショウジョウバエにおいてもγ-secretaseによる切断機構が保存されていることに着目し、RNAi(二本鎖RNAによるRNA干渉法、遺伝子発現を低下させることができる)及び過剰発現系を用いてこれらの因子がγ-secretase活性に及ぼす影響について検討し ました。その結果まずPSにNCT、APH-1が結合し安定化され、その後PEN-2によって活性型γ-secretaseになることがわかりました(図)。今後それぞれの因子の機能を更に詳細に検討することにより、γ-secretaseによる切断機構を明らかにすることが可能になるものと考えられます。またこれらの因子に対する低分子化合物が新しいγ-secretase阻害剤となることが期待され、これまでにない新しいタイプのアルツハイマー病治療薬に結びつく可能性があります。 以上の研究結果は日本経済新聞、共同通信、朝日新聞で配信されました。 ![]() ![]() ![]() 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Sulindac sulfide is a non-competitive γ-secretase inhibitor that preferentially reduces Aβ42 Yasuko Takahashi, Ikuo Hayashi, Yusuke Tominari, Kentaro Rikimaru, Yuichi Morohashi, Toshiyuki Kan, Hideaki Natsugari, Tohru Fukuyama, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo γ-secretaseはAPPのみならず他の基質も切断することから、γ-secretase阻害によるアルツハイマー病治療・予防については、重篤な副作用が懸念されています。疫学的調査より、非ステロイド性抗炎症薬の服用がアルツハイマー病の発症リスクを低下させることが報告されています。そのメカニズムについては不明ですが、主に脳内での抗炎症作用によるものであると考えられてきました。しかし2001年、一部の非ステロイド性抗炎症薬がγ-secretase活性に影響を与え、Aβ42産生を特異的に阻害すること、また Notch切断は阻害しないことが報告されました。そこで私たちは非ステロイド性抗炎症役が直接γ-secretaseに対して阻害作用を持つかどうかを検討するため、in vitro γ-secretaseアッセイ系を構築し検討しました。その結果Sulindac sulfideはAβ42産生を有意に阻害すること、また高濃度ではAβ40産生、Notch切断も阻害するγ-secretase阻害剤であることを証明しました。今後Sulindac sulfideをリード化合物とした創薬を行うことで、Aβ42産生のみを抑制し、副作用の少ないアルツハイマー病予防・治療薬の開発につながるものと期待されます。 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 The mechanism of γ-secretase activities through high molecular weight complex formation of presenilins is conserved in Drosophila melanogaster and mammals Nobumasa Takasugi, Yasuko Takahashi, Yuichi Morohashi, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo プレセニリンを含んだ高分子量複合体は、γ-secretaseそのものである可能性が示唆されています。プレセニリンはさまざまな動物種のみならず、植物にまで広く存在することから、γ-secretaseによる切断機構がさまざまな生物において重要である可能性が高いと考えられています。実際に、マウスやショウジョウバエにおいては、γ-secretaseによるNotchレセプターの切断が、初期発生に重要であることが示されています。しかしショウジョウバエプレセニリン蛋白そのものについての解析は、ほとんど行われてきていませんでした。今回私たちはこのショウジョウバエプレセニリンについて生化学的検討を行い、ヒトプレセニリンと同様の分子機構を用いて高分子量複合体を形成し、γ-secretase活性を発揮することを示しました。また最近、二本鎖 RNA を用いて遺伝子発現を低下させる、RNAi(dsRNA mediated interference)という手法が、ショウジョウバエ個体や、培養細胞系で有効であることがわかってきました。私たちはショウジョウバエS2細胞にヒトと同様のγ-secretase活性が存在し、RNAiを用いてプレセニリンをノックダウンし、実際にγ-secretase 活性が低下することを確認しました。今後ショウジョウバエのゲノム情報を元に、S2細胞を用いて過剰発現系及びRNAiを活用していくことで、γ-secretaseに関わる分子機構を明らかにしていくことができるものと考えています。 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Phosphorylated α-Synuclein Is Ubiquitinated in α-Synucleinopathy Lesions Masato Hasegawa, Hideo Fujiwara, Takashi Nonaka, Koichi Wakabayashi, Hitoshi Takahashi, Virginia M.-Y. Lee, John Q. Trojanowski, David Mann and Takeshi Iwatsubo 新しい論文がJournal of Biological Chemistryに発表されました。 Molecular Cloning and Characterization of CALP/KChIP4, a Novel EF-hand Protein Interacting with Presenilin 2 and Voltage-gated Potassium Channel Subunit Kv4 Yuichi Morohashi, Noriyuki Hatano, Susumu Ohya, Rie Takikawa, Tomonari Watabiki, Nobumasa Takasugi, Yuji Imaizumi, Taisuke Tomita and Takeshi Iwatsubo 家族性アルツハイマー病の原因遺伝子プレセニリンは、脳アミロイドの主要構成成分であるβアミロイドの産生にかかわる酵素である、γ-secretaseに必須な分子であることが知られてます。その役割は明確ではありませんが、プレセニリンやさまざまな蛋白を含んだ高分子量複合体がγ-secretaseそのものである可能性が示唆されています。今回我々はPS2のC末端部分を釣り針(bait)とした2-hybrid法によるスクリーニングによって新たな結合蛋白CALPを同定しました。培養細胞を用いた解析から、CALPは細胞内でPS2と相互作用している一方、γ-secretaseとしての機能には大きな影響を与えないことを見出しました。またCALPがすでに報告されていた電位依存性カリウムチャンネルの機能修飾因子であるKChIPファミリーと相同性が高かったことから、CALPがカリウム電流に対する影響を検討したところ、CALPはKv4.2チャンネルに結合してA型カリウム電流を調節し、KChIPとしての機能を持っていることを見出しました。 新しい論文がEMBO Journalに発表されました。 CLAC: a novel Alzheimer amyloid plaque component derived from a transmembrane precursor, CLAC-P/collagen type XXV Hashimoto T, Wakabayashi T, Watanabe A, Kowa H, Hosoda R, Nakamura A, Kanazawa I, Arai T, Takio K, Mann DMA, Iwatsubo T アルツハイマー病の脳にはアミロイド物質が蓄積し、発症の原因となると考えられています。脳アミロイドの主成分はβタンパクですが、これ以外にもアミロイドに固くくっつき、βタンパクの蓄積やアルツハイマー病の発症に影響を与えるタンパク質の存在が想定されてきました。今回我々は、アルツハイマー病の脳にたまったアミロイドから新規の成CLACを同定しました。CLACはコラーゲン状の構造をもち、膜を貫通する形のCLAC前駆体タンパク(25型コラーゲンとも命名されました)から、furinという切断酵素で切り出され、分泌されることも突き止めました。コラーゲンは通常皮膚や血管などの結合組織に大量に存在する線維性のタンパクですが、神経細胞がコラーゲンを作っているということもはじめて分かった事実です。CLACタンパクはβアミロイドに付着することにより、βアミロイドの凝集に影響を与えたり、周囲からの分解に対し抵抗性を与え、アルツハイマー病の発症に影響 を与える可能性が考えられます。このタンパクの存在は1997年にペンシルベニア大のトロジャノフスキー、リー教授らにより予想されていました (Science 277: 31-32, 1997)が、数年にわたる研究の結果、今回我々の研究チームがその同定に成功しました。アミロイド蓄積阻害治療、発症前診断への応用も期待されます。 図は抗CLAC抗体9D2と抗βアミロイド抗体で二重染色したアルツハイマー病の脳組織。CLACとβアミロイドが共存する老人斑は黄色に染色されています。 ![]() 新しい論文がNature Cell Biologyに発表されました。 α-Synuclein is Phosphorylated in Synucleinopathy Lesions Hideo Fujiwara, Masato Hasegawa, Naoshi Dohmae, Akiko Kawashima, Eliezer Masliah, Matthew S. Goldberg, Jie Shen, Koji Takio and Takeshi Iwatsubo 高齢者に生じる神経変性疾患の中で、運動機能の冒されるパーキンソン病、アルツハイマー病に似た痴呆症状を示す「Lewy(レビー)小体型痴呆症」の頻度が増加しています。これらの疾患には有効な根本的治療法がなく、その発症機序も不明です。これらの疾患ではα-シヌクレインというたんぱく質が、神経細胞の中で異常を起こし、たとえば” Lewy小体”と呼ばれる線維状の固まり(封入体)をつくって蓄積することが、神経細胞の死滅や症状発現の原因の一つとみられており、まとめて「シヌクレイノパチー」と呼ばれています。しかし正常なα-シヌクレインがどのような原因で線維を形成するのか、線維をつくったα-シヌクレインにはどのような特徴が生じているかには不明の点が多く残されていました。今回我々は、Lewy小体型痴呆症やパーキンソン病の脳にたまったα-シヌクレイン蛋白を分析し、140個ならんだアミノ酸のうちの1個、129番目のセリンが特異的に「リン酸化」を受けていることを証明しました。リン酸化は、たんぱく質の機能を変える生体内の重要な反応ですが、神経細胞に蓄積したたんぱく質のリン酸化は、アルツハイマー病でもタウ蛋白にみられており、パーキンソン病でもα-シヌクレインのリン酸化がその蓄積・細胞障害に重要な役割を果たしている可能性があることがわかりました。またこの発見がシヌクレイノパチーの診断や治療に結びつく可能性も期待されます。 ![]() |